とりすてわむの憂鬱

まともなハイプリの存在をいつまで信じていたかなんてことは、
たわいもない世間話にもならないくらいのどーでもいい話だが、
それでも俺がいつまでハイプリなどという想像上の赤服さんを信じていたかというと、
俺は確信を持っていえるが、最初から信じてなどいなかった。

らくりまのG狩りに現れた赤服は偽ハイプリだと理解していたし、
ゆいがアスムしてMOB殴っているところを目撃したわけでもないのに、
狩り中に座るしか仕事をしないハイプリの存在を疑っていた、

さかしい俺なのだが、はてさて、ボリスハンターやボリスプリや騎士や忍者やガンスリや、
悪たれボリスや、それらと戦うアニメ的特撮的漫画的ヒーロー達が、この世に存在しないのだと
いう事に気づいたのは相当あとになってからだった。
いや、本当は気づいていたのだろう。ただ気づきたくなかっただけなのだ。

俺は心の底から、ボリスハンターやボリスプリや騎士や忍者やガンスリや、
悪たれボリスが目の前にふらりと出てきてくれることを
望んでいたのだ。　しかし、現実ってのは意外ときびしい。
世界の物理法則がよく出来ていることに感心しつつ、
いつしか俺は枝折りやトレインをそう熱心にしなくなっていた。
るく？江加さん?ゆりさん？そんなのいるわけねぇ。
でも、ちょっとはいてほしい
みたいな・・・
自らプリを出すことを考えるくらいにまで、俺も成長したのさ。

G狩りを終了するころには、俺はもうそんなガキな夢を見ることからも卒業して、
この狩りの普通さにも慣れていた。

俺は大した感慨もなく南に戻り、そいつと、出会った。